彡(゚)(゚)「シーズンオフは暇やなあ、パワプロも飽きたし」
彡(゚)(゚)「また一人モノポリーでもやるか」
???「おい」
彡(゚)(゚)「うわ何や!? いつのまにか部屋にオッサンが!?」
???「俺は将棋星人や、地球の代表と勝負しに来た」
彡(゚)(゚)「え?」
将棋星人「とりあえず羽生を倒したらええんやな」
彡(゚)(゚)「は???」
彡(゚)(゚)「ちょ、ちょっと待ってくれ、将棋星人?」
将棋星人「そうや、五億光年を飛んできた」
彡(゚)(゚)「宇宙人ってことか?」
将棋星人「そうやで、ほれ」
彡(゚)(゚)「ほげ!? ワイの体が浮いてる!?」
将棋星人「テレキネシスっちゅうやつや、この力で宇宙も飛べる」
彡(゚)(゚)「え…えらいこっちゃ…。本物や…モノホンの宇宙人……」
彡(゚)(゚)「あれ、でもなんで宇宙人が将棋知ってんのや?」
将棋星人「それは順序が逆や」
将棋星人「ワイらが数千年前、地球人に将棋を教えたんや」
彡(゚)(゚)「なんやて!?」
将棋星人「ワイらは宇宙を渡り歩いてる」
将棋星人「どこかの星で知的生物を見つけると、その生物にワイらのゲームを教えるんや」
将棋星人「そして十分に成熟したあたりで、勝負を申し込むわけやな」
将棋星人「この星では最初にインド人に教えた、彼らはワイらのゲームをチャトランガと呼んだんやが」
将棋星人「それが東西に広まって変化し、西ではチェスに、東の果てでは将棋になったっちゅうわけや」
将棋星人「ワイらが満足するほどゲームが複雑化し、浸透するのに数千年かかったな」
彡(゚)(゚)「気の長い話やなあ……」
彡(゚)(゚)「ほんで…羽生さんと戦いたいんか?」
将棋星人「他にも候補は何人かおるけど、まあ羽生がええやろうと思うてな」
彡(゚)(゚)「羽生さんは忙しいと思うけど」
将棋星人「なんや、ほんならお前でもええで」
彡(゚)(゚)「え、ワイ?」
彡(゚)(゚)「まあ将棋は好きやし、別にええけど」
将棋星人「よっしゃ、じゃあルールは将棋でええか? チェスでもええけど」
彡(゚)(゚)「チェスはよく知らんわ、将棋で頼む」
将棋星人「ええやろ、ゲームの選択は現地人に任せる代わりに、ワイらから一つルールを足させてもらうで」
彡(゚)(゚)「はあ」
将棋星人「白紙のコマを一枚、自陣の中に置くんや、この駒の動きや性能は、プレイヤーが勝手に決めていい」
将棋星人「白の性能はコマの裏側に書いておき、ゲームが開始した直後に開示する」
将棋星人「これがワイらの好きなルール、超将棋や」
彡(゚)(゚)「超将棋、ほーん、まあええわ」
将棋星人「よっしゃ、ではルールは超将棋、時刻は明日の正午、場所はこの部屋」
将棋星人「地球の支配権を賭けて勝負や」
彡(゚)(゚)「えっ」
将棋星人「ほな」バシュッ
彡(゚)(゚)「うお、一瞬で消えた」
彡(゚)(゚)「…………。地球の…支配権?」
彡(゚)(゚)「……あれ、もしかしてこれ、やばない?」
彡(゚)(゚)「と、とりあえず、あいつに相談しよかな」
(´・ω・`)「急に呼び出してどうしたの、これから棋譜の検討しないといけないのに」
彡(゚)(゚)「大変や、将棋星人が攻めてきたんや、地球を乗っ取る気や」
(´・ω・`)「これお土産のチロリアンね、食べたら一緒に病院行こう」
彡(゚)(゚)「こいつはワイの友人や」
彡(゚)(゚)「頭のいいやつで、今はプロ棋士一歩手前の奨励会三段や」
彡(゚)(゚)「どのぐらい頭がいいのかというと、桃鉄で移動系カードを縛ってエンマに勝つほどで」
(´・ω・`)「なにブツブツ言ってるの?」
彡(゚)(゚)「……と、こんなことがあったんや」
(´・ω・`)「……やきう君がチャトランガなんて知ってるとは思えないし、作り話にしては手が込んでるけど…」
(´・ω・`)「まあ信じる信じないは別として、超将棋だっけ、それを検討するなら手伝うよ」
彡(゚)(゚)「ほうか、助かるわ」
彡(゚)(゚)「まず白いコマやったっけ、これを自陣に置くんやな」
(´・ω・`)「そうだね、将棋で言う自陣とは手前側から三列目までを指すけど」
(´・ω・`)「一番手前と三列目は他のコマで埋まってるから、実質は二列目のどこかに置くことになるね」
彡(゚)(゚)「まあワイが先手として、五8に置くな、五8白とでも書くか」
(´・ω・`)「そう……そしてコマの性能は自由に決められる……」
(´・ω・`)「…………」
(´・ω・`)「……このルール…。いや、そうか……ということは…」
彡(゚)(゚)「どうしたんや?」
(´・ω・`)「ちょっと僕と模擬ゲームをしてみよう」
(´・ω・`)「やきう君、白の性能だけど、君が考える最強の性能のコマを考えてみて」
彡(゚)(゚)「ん?」
彡(゚)(゚)「そうやなあ、まあやっぱり、タテでもヨコでもどこまででも動けるって感じか、馬と龍を合わせた性能やな」
彡(゚)(゚)「白を活躍させるために、まず前の歩をどかさんとな。初手は五6歩、と」
(´・ω・`)「それでは遅い」
彡(゚)(゚)「へ?」
(´・ω・`)「桂馬ってコマがあるだろう? 2つ前の斜めに飛べるコマだ」
(´・ω・`)「このコマは、自分のコマでも敵のコマでも、飛び越えて移動できる」
彡(゚)(゚)「うん」
(´・ω・`)「もし白が五8にあるとして、その性能が、「7マス前にジャンプできる」だったら?」
彡(゚)(゚)「……え?」
彡(゚)(゚)「は!? いきなり王様取れるやんけ!?」
(´・ω・`)「あるいは「どのマスへでも自由に移動できる」でもいい」
(´・ω・`)「相手のコマも問題なく貫通できる、動き方としてはこれが最強だ、いきなり王様が狙える」
彡(゚)(゚)「こ、こんなもん将棋ちゃうやんけ! ムチャクチャや!」
(´・ω・`)「それが将棋星人とやらの狙いだよ」
(´・ω・`)「白の性能を、ゲーム開始直後に開示する、としてるのがポイントなんだ」
(´・ω・`)「このゲーム、実のところは、この白の性能だけが勝負を分ける」
(´・ω・`)「彼らはこの白の性能だけを、長い長い間、検討していたんだ」
彡(゚)(゚)「せ、せやけど、こんなもん防ぎようがないやんけ、実質は先手を取ったほうが勝ちや」
(´・ω・`)「そうだね、決め方はジャンケンでも振り駒でもいいけど、先手必勝に見える」
(´・ω・`)「でももし、王様が二枚あったら?」
彡(゚)(゚)「は??」
(´・ω・`)「敵が先手を取り、初手で王様を取られても、こちらは王様が二枚だから負けじゃない、後手で相手の王を取って勝てる」
彡(゚)(゚)「ど、どういうこっちゃ」
(´・ω・`)「将棋の源流のひとつ、小将棋というゲームには「酔象」というコマがあるんだ」
(´・ω・`)「このコマが敵陣で成ると「太子」になる、王子のことだね」
(´・ω・`)「これが存在していると、王様を取られても負けにならない、世継ぎがいるわけだからね」
(´・ω・`)「つまり白の性能に「このコマは王様の代わりになる」と加えればいい」
彡(゚)(゚)「なるほど!」
彡(゚)(゚)「……ん?」
彡(゚)(゚)「いや、あかん……」
彡(゚)(゚)「将棋星人は地球に将棋を教えたんや、とうぜん小将棋も太子も知ってるはずや」
彡(゚)(゚)「相手の白にも同じことが書いてあるに決まってるわ…」
(´・ω・`)「そう、よく気づいたね」
彡(゚)(゚)「このゲーム、予想以上にえげつないな」
彡(゚)(゚)「相手にも王様が二枚あるとして……これをどう破れば……」
彡(゚)(゚)「!」
彡(゚)(゚)「そうや! 一回に二度動ければええんや! それで相手の白と王様を取れる!」
(´・ω・`)「お見事、そこに気がついたのは凄いよ」
(´・ω・`)「実際にも将棋のルールのバリエーションとして、「獅子王」という遊びがある」
(´・ω・`)「片方は普通に並べるけど、もう片方は王様一枚だけ、という遊びだ、しかしこの王は1ターンに2度動ける」
彡(゚)(゚)「なんやそれ? ゲームになるんか?」
(´・ω・`)「この王様を詰ませるのは非常に難しい」
(´・ω・`)「しかし詰ませるパターンは確かに存在する、なかなか奥深い遊びだよ」
彡(゚)(゚)「なるほどなあ」
彡(゚)(゚)「ん? 待てよ、すでにルールとして存在するっちゅうことは」
(´・ω・`)「そう、将棋星人は当然これも知ってるだろうね」
彡(゚)(゚)「ほげっ……」
(´・ω・`)「将棋星人というのは、おそらく何千年も僕たちの地球を眺めて、そこで生まれたルールを吸収してるんだろうね」
(´・ω・`)「そのルールのエッセンスを、白というコマに反映させて襲ってくる、おそろしい相手だよ」
彡(゚)(゚)「うぐぐ、これ以上どうしたらええんや……」
彡(゚)(゚)「「一度に100回動ける」とかか、あるいは「このコマは相手に取られない」とか…」
(´・ω・`)「もっとシンプルに考えよう」
彡(゚)(゚)「?」
(´・ω・`)「「このコマのプレイヤーはゲームに勝利する」と書く」
彡(゚)(゚)「え!?」
(´・ω・`)「先手でも後手でも関係ない、ゲームが開始した瞬間にこちらの勝ちになる」
彡(゚)(゚)「む、ムチャクチャな……」
彡(゚)(゚)「……せやけど、何かもう何でもありえると思えてきたわ」
彡(゚)(゚)「そんなムチャクチャなことだって、相手側の白にも同じことが……」
彡(゚)(゚)「……待てよ、そうや! 相手の白の性能を封じ込めたらええんや!」
彡(゚)(゚)「「このコマのプレイヤーはゲームに勝利する、相手の白は性能を発揮できない」としたらええ!」
(´・ω・`)「その通り」
(´・ω・`)「特定の状況で、相手側の選択肢を封じるという特殊ルールはいくつかある」
(´・ω・`)「例えば「資本将棋」というルールだ、これは持ち駒の数が4枚までと制限されてる」
(´・ω・`)「相手の持ち駒が4枚になると、それ以上コマを取れない、つまり飛車や角でずんずん突き進んでも相手はそのコマを取れないんだ」
彡(゚)(゚)「なるほど」
彡(゚)(゚)「……あれ、でも、もしかして」
(´・ω・`)「そう、相手の白を封じることぐらい、相手も当然読んでくる……」
彡(゚)(゚)「そ、そんなアホな」
彡(゚)(゚)「「ゲームに勝利する、相手は白を使えない」って言葉が「両方」に書かれてたら、これ以上どうするんや」
(´・ω・`)「まだまだ、ここが多分「入り口」だよ」
彡(゚)(゚)「うせやろ?」
(´・ω・`)「例えば、「この白の性能はいかなる方法でも無効化できない」とでも書けば対策できる」」
彡(゚)(゚)「おお…なるほど」
(´・ω・`)「しかし「相手は白の性能を開示できない」とすれば、相手はそもそも開示できないから性能を発揮できない」
彡(゚)(゚)「ん? んん? えーっと…」
彡(゚)(゚)「それやと結局は先手必勝やないんか?」
(´・ω・`)「将棋星人が言ってたんでしょ? 白の性能の開示は「ゲーム開始直後」、この表現が絶妙だ」
(´・ω・`)「ゲーム開始直後とはどのタイミングを指すのか、通常なら先手が第一手を撃つ瞬間だけど…」
(´・ω・`)「もっと早い段階、振り駒やコマを並べる時からゲームが始まってるとも言える」
彡(゚)(゚)「つまり性能の開示のタイミングを早めるってことか」
(´・ω・`)「ああ、実際は座って、コマを並べ始める瞬間からゲームが始まってる」
(´・ω・`)「なぜなら、「歩はここに置く」「角はここに置く」というのが、すでにルールに従ってる行動だからだ」
彡(゚)(゚)「……??? 何かだんだんワケわからんくなってきたで、どういうことや?」
(´・ω・`)「何らかの表現で、相手がコマを並べられなくすれば、こちらの不戦勝となる」
彡(゚)(゚)「ほげ!?」
(´・ω・`)「あるいは相手に一定の行動をループさせるような表現、白を置けなくなるような表現」
(´・ω・`)「相手側の表現への対策も十分にやらないとね」
彡(゚)(゚)「…………よし」
彡(゚)(゚)「あとは全部まかせた、ワイには無理や」
(´・ω・`)「まかせて、だんだんノッてきたよ、今日は徹夜だな」
(´・ω・`)「古今東西のゲームの情報も集めよう、将棋のルールについても厳密に調べておかないと……」
-翌日-
将棋星人「よう、そろそろ時間やな」バシュッ
(´・ω・`)「うわ、急に現れた」
彡(゚)(゚)「せやから言うたやろ、ホンマの宇宙人なんや」
将棋星人「そっちの子は何や?」
彡(゚)(゚)「ワイの友人や、こいつが代わりに打つ」
将棋星人「まあ何でもええわ、はよ始めるで」
将棋星人「……」(座ってコマを並べる)
(´・ω・`)「……」(座ってコマを並べる)
彡(゚)(゚)「(ヒソヒソ)何もしてけえへんな」
(´・ω・`)「(ヒソヒソ)ああ、ここまででも、あらゆる行動に備えてカウンターを用意してたけど…」
将棋星人「フッフッフ、ワイの白の性能にビビったらあかんで」
(´・ω・`)「! (来た!)」
将棋星人「タテでもヨコでもどこまででも動ける! しかも王様の代わりにもなるんや!!」
将棋星人「たとえ王様が取られても、このコマも取られんと負けにならんのやで!!」
将棋星人「さあかかってこい!!」
彡(゚)(゚)「…………」
(´・ω・`)「…………」
彡(゚)(゚)「将棋星人、涙目で帰っていったなあ」
(´・ω・`)「なんか悪いことしちゃったね……」
(´・ω・`)「こっちの性能の説明してる間、ずっと顔が歪んでたし……」
彡(゚)(゚)「ま、まあ、これで地球は救われたんやし、よしとしようか」
(´・ω・`)「そ、そうだね」
彡(゚)(゚)「それにしても、ずいぶんびっしりと書いてあるなあ、こっちの白は」
(´・ω・`)「特殊な印刷機を使ってプリントしたんだよ、普通の駒の大きさに500文字書いてある」
彡(゚)(゚)「大変やったやろ、すまんな」
(´・ω・`)「いや、奨励会の仲間もノリノリで協力してくれたからね、楽しかったよ」
彡(゚)(゚)「……なあ、もしかして」
(´・ω・`)「うん?」
彡(゚)(゚)「……地球人って、性格悪いんとちゃうかな…」
(´・ω・`)「…………」
(おしまい)
≪ 羽生善治竜王の講演に1100人が来場 | HOME | 第67回NHK杯3回戦第7局 ▲佐藤康光NHK杯-△斎藤慎太郎七段 ≫
ナイス
五8って符号の表記も見ててすごい違和感ある
管理人は何をまとめとんじゃ。
地球が守られたのは少年ジャンプのお陰だったんや
「おっ」
と声を上げた。突然の投了に心から驚いている様子だ。
そしてすぐに将棋星人に向かって、この将棋は難解なまままだまだ続くはずであったろう、
そして自分のほうの形勢が少し悪かったという意味のことを、かなり強い口調で指摘した。
山崎もすぐさま言葉を返したが、羽生の口調と表情は厳しいままだった。
どういうオチなんだ?
もちろん書けるのは通常の将棋にある駒だけでね
わいらの世界はこうして救われてたんだなー(恍惚)
普通に面白い
ゲーム機あるなら、いたストでもやったらええがな
そのネタは面白いが最後の山崎が変わってなかったのが残念
棋士の修正なのか、終わった後の感想戦が物凄く長かったとか
こういう改変ネタはあえて元の文章を一部残すのが作法なんやで
原ちゃんそんな事やってて大丈夫なんか
さらっとこういう話を作れる人凄いわ
しかし、どこまで対策したのだろうか。
特殊駒落ちなんて歩三兵しか知らなかった
「ワイらが満足するほどゲームが複雑化し、浸透するのに数千年」も待つ必要は全く無いよね
と言うのは野暮なのかな。
四面四角な将棋星人になってたんだろうか
「この駒の動きや性能は、プレイヤーが勝手に決めていい」
って言ってるんだから
ルール自体を変えるのは反則な気がするなぁw
なお
しょうがないね
アレも将棋星人ドン引きやろうな
つくづく破門されかかって良かったと思う
あの件が無ければ多分今の愛すべき山ちゃんはいない
王将「奪う」
元竜王「奪う」
昨年度棋王挑戦者「奪うのお手伝いします」
人類史とか言うド畜生エピソード満載の歴史を勉強すれば、もう少し対策打てたはずやで
オチがあざやかでイイネ 作者さんグッジョブ!
ハム相手にお疲れ
それでゲームになるのかわからんけど大将棋とかのたぐいって実際にはほとんど遊ばれなかったらしいしなぁ
そういうあなたは5chのまとめサイトに常駐してる立派な大人ですね
なお勝つ模様
今の愛されキャラな山ちゃんはもちろん自分も好きなんだが
村山さんが「A級八段になれる」と見込んでただけに
こんなとこで足踏みしてる場合かと草葉の陰から
歯痒い思いで見ておられるだろうなと思うとちと複雑なのよ
ホワイトナイトだった!
そんな感じでもう一作お願いしたい
羽〇「86歩」
将棋星人に角頭歩戦法とか会長かな?